自毛植毛とスリットの深い話 コロナールかサジタールか

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自毛植毛のスリットの種類

今回は植毛における
仕上がりの大事な部分について
考えていこうと思います。

FUTではスリットという切込みを入れて
ドナー(移植株)を植え込んで行きますが
その方向が仕上がりに影響してきます。

かなりマニアックな部分だと思いますが
知識として蓄えておく価値はあるでしょう。

・植毛の仕上がりを左右するスリット

自毛植毛で重要なことのひとつに
仕上がりの良し悪しがあります。

せっかく手術が成功したとしても
仕上がりが不自然だったら
満足度がガクンと下がります。

例えば生え際からいきなり濃くなったり、
田んぼのようにまばらになったり、
生えはしたが思ったより濃くならなかったなど
今でも失敗と呼べる症例が多いといいます。

今回注目するのは濃さの部分です。

あまり知られていないと思われますが
ドナーを植え込むための穴の作り方で
見た目が変わってくるのです。

世界のゴールドスタンダードであるFUT法では
スリットという切り込みを作成します。

そのスリットを入れる方向が重要になります。

皮膚繊維と揃える、
つまり縦(サジタール)に入れるか、
それとも横(コロナール)に入れるかで
出来栄えが違うことがわかっています。

どうも縦に入れるよりも
横に入れた方が濃く見えるといいます。

2000年代の始めころに
カナダのクリニックの医師がキッカケで
世界に知れ渡るようになり、
どちらが良いか議論が重ねられたようです。

・スリットを入れる方向は地味に重要

医師によってはサジタールでもコロナールでも
そこまで仕上がりに大きく影響しないと
意見が分かれています。

ただ、サジタールの方が濃く見えるという
医師はいないそうですので、
コロナールの方が支持されてる傾向にあります。

日本では最も権威がある
ヨコ美クリニックの今川賢一郎医師は
コロナールを支持しています。

高密度植毛を行えることで有名な
カナダのJerry Wong医師も
コロナールで行っているといいます。

更に彼の場合、植毛部の既存毛も剃って
スリットを作成しているようです。

それはおそらく達成密度を上げるためだと
今川先生は分析しています。

横に切り込みを入れる欠点は
既存毛にダメージが及びやすいことと
見えづらくなることがあるといいます。

髪に物理的なダメージが及ぶと
休止期に突入してしまう
いわゆるショックロスが
起こる可能性があります。

見えにくくなるということは
見落とす可能性が出てきて
植え込み忘れの恐れもあります。

それらを防ぐためにWong医師は
こだわっているのだと思います。

では基本的なこととして、
縦(サジタール)と横(コロナール)では
なぜ見た目の濃さに差が出るのか、
について考察したいと思います。

移植毛を真正面から見たとします。

おそらく横の方が移植毛は
左右に揺れ動きやすいことから、
髪の毛全体が見える機会が多い。

逆に縦だと前後に揺れることにより
視認面積が減るのではないかと
考えられます。

・コロナールのリスクも知っておこう

いろいろややこしいことを
述べてきてしまいましたが
ざっくりまとめると、

ドナーを埋める為の切り込みは
横方向に入れたほうが濃く仕上がる、
ということになります。

縦方向の方が負担が少なそうなので
ショックロスも踏まえてどちらがいいかは
議論が分かれるところかもしれません。

気になるのでしたら担当医師に
直接聞いてみたほうがいいでしょう。

ちなみにコロナール(横)のスリットで
デンスパッキング(高密度植毛)をすると
かなりショックロスが起こるそうです。

その点は事前に把握しておかないと
術後に髪が減ったと焦ることになります。

また、MFU株をコロナールのスリットに
植えると血行阻害リスクがあり危険と
言われているそうです。

MFU株とは、
複数のFU株(毛穴単位のグラフト)のことで
要は大きいサイズの株です。

最近は最小単位であるFU株だけじゃなく
MFU株も混ぜてるクリニックが多いです。

それが仕上がり以前に発毛率や
密度の不満に繋がってる可能性も考えられます。

ということで余裕があるながら
各クリニックのカウンセリングで
聞いてみるといいと思います。