薄毛と遺伝は関係しているとよくいわれます。
親・兄弟・祖父母にハゲている人がいたらあんたも禿げるよ、
などと昔は噂レベルでしか過ぎませんでしたが
現在は遺伝が大きく関係しているとわかってきてます。
それで母方の祖父から薄毛遺伝を受け継ぐ
という話を耳にした方は多いと思います。
なぜ両親ではなく母親の方のおじいさんという
とても限定された条件となっているのか、
今回はそれについてお話していこうと思います。
まず基本的なところからおさらいすると、
薄毛の素質とも言うべき情報は、
性別と関係していると言われる性染色体に存在します。
性染色体にはX染色体とY染色体の２種類が存在し、
AGAの発症リスクに関わる情報はX染色体にあります。
X染色体の一部にはシトシン・グアニン・チミンと呼ばれる
塩基という物質が規則正しく並んでいる箇所があります。
その特異な部分を塩基の頭文字をとってCAGリピートと呼ばれています。
リピート数が多いほどタンパク質の構造が複雑になり
男性ホルモン受容体とDHTが結合しづらくなり
AGAの発症リスクが少なくなります。
逆にリピート数が少ないとDHTと結合しやすい
受容体が作られるので薄毛リスクが高くなります。
※DHT＝ジヒドロテストステロンの略で男性型脱毛症の最大原因となる物質。
では母方の祖父から薄毛遺伝を受け継ぐ理由ですが、
男性はX染色体とY染色体を１つずつ持っています。
Xは母親から、Yは父親から受け継ぎます。
女性の場合、両親から１つずつXを受け継ぐのでYを持っていません。
母親の父親(自分からみたら祖父)が禿げやすい方だったら
薄毛の素質をもつX染色体を受け継ぐことになります。
そして母親が子供(あなた)を生むときは
２つあるX染色体のどちらか一方を継承します。
そんな法則があるので母方の父から隔世遺伝するといわれているのです。
どんな遺伝情報をもってるかは生まれてみるまで
わからないのでそこは運次第ということになります。
もしかしたら母親はどちらのX染色体も
薄毛になりにくいものかもしれないですし、
両方ともはずれの可能性だってありえます。
では父親からは何も受け継がないのかというと、
まだはっきりとはわかっていません。
女性の薄毛もまだよくわかってない部分が多いですが、
それも性染色体のどこかに素因が隠されているかもしれません。
ちなみに家族に誰もはげがいないから安心♪
とは言い切れない部分もあります。
遺伝子は細胞分裂をする際によくコピーミスを起こします。
細胞が分裂する際は非常に精度が高い複製作業が行われてますが、
必ずしも全てが成功するわけではありません。
温和な両親から必ずしも温和な子供が生まれないように、
突然強力な薄毛遺伝子に変化する可能性だってあるのです。
もし不安なら遺伝子検査キットか病院にいくかして
自分のCAGリピート数などを調べてみるといいと思います。
１～２万とちょっと高いですが
遺伝情報は一生変わらないので一度行うだけで済みます。
