非金属元素の一種にセレンという物質があります。
セレンとは1817年に発見された34番目の元素で
別名ではセレニウムと呼ばれています。
1800年代半ばから毒性が強いことで知られていて、
長い間危険なだけの物質と思われていました。
ところが1900年代後半になってから
人にとって必須となる栄養素でもあることがわかります。
セレンは化学構造が硫黄とかなり似ており、
タンパク質と結合している状態で効果を発揮する特徴があります。
抗酸化物質として知られるビタミンEとビタミンCと協力して
強力な抗酸化作用を発揮することでヒドロキシラジカルなどの
凶悪な活性酸素の無害化に役立つとされています。
活性酸素は外敵を排除するために必要なものですが、
必要以上に増えると正常な細胞にもダメージを与えるため、
あらゆる病気の温床となってしまいます。
もちろんそれは薄毛にも大いに関係してくると思われます。
体が酸化する(錆びる)ことは老化を推し進めることにもなり、
抗酸化作用がある物質は常に注目の的となっていることから
サプリメントなども販売されているようです。
しかし、セレンの場合は他の成分よりもずっと
摂取量に注意する必要があるためサプリを飲むことは推奨できません。
セレンは体に必要な成分ではありますが、
適正と思われる量と過剰摂取となる量が近い特徴があります。
推奨量は25~30μgマイクログラムで、上限量が450μg、
そして中毒を起こす量が800μgと言われています。
マイクログラムはミリグラムの1000分の1という僅かな量で、
現代人(文明人)の多くは食品から推奨量かそれ以上の量を
摂取していると言われています。
よく栄養素はサプリで摂るまでのものではない
という意見を見受けられますが正にその典型例といったところです。
ちなみに亜鉛のサプリの添加物としてセレンを含んでるものもあるので
購入する前に必ず内容成分は確認するようにしましょう。
亜鉛は育毛対策品の定番ですので飲んでる人が多いと思いますので、
十分注意すべきことだと思います。
過剰症として知られているのは抜け毛以外にも、
下痢や食欲不振、吐き気といった消化器系の異常に、
悪心、ずつ、免疫力の低下などがあります。
参考までに欠乏症は貧血や高血圧などの循環器系の異常から
前立腺がんや静止生産量の減少などの生殖器系の異常、
関節炎・筋萎縮、そして老化を早めるといわれています。
セレン欠乏症は土壌中のセレン濃度が少ない地域である
中国の黒竜江省克山県など限られた地域でしか
ほぼ発生しないのであまり気にする必要はありません。
セレンがどのように生体内で毒性を引き起こすのか、
詳しいメカニズムは判明していないようですが、
硫黄と構造が似ていることや摂り過ぎると皮膚がんのリスクも
上げることなどから髪との関連が深い物質だということが窺えます。
兎にも角にも、
必須とはいえ摂り過ぎはどんなものも良くないので
常に節度を重んじてほしいと思います。
うまく付き合えばあなたの髪の味方になりえますが、
摂り過ぎはほぼ確実に敵となってしまうでしょう。
<セレンを多く含む食品一覧>
<にんにくの成分ごとの考察>
にんにくと髪の健康の考察
アリシン(アホエン)
オリゴ糖
カリウム
ゲルマニウム
システイン
食物繊維
スコルジン(スコルニジン)
セレン(この記事)
スルフィド類
ビタミンB6
モリブデン